あらすじ

群青学院の放送部所属の主人公、黒須太一は、部の仲間たちとの楽しい時を送っていた。

だが、やがて共に時間を過ごすにつれ、それぞれ心に歪みを抱えたメンバーたちの間には亀裂が生まれ始める。そしてあるときを境に、ついにそれは決定的な破綻となり、結果「放送部」は断絶してしまう。

太一は起死回生を賭けて、夏合宿に臨むも失敗に終わり、心中がバラバラの状態で街に帰ってくる放送部メンバー。そんな彼らを迎えたのは、全ての生物の存在が消え果て、異常なほど静まりはてた街だった。

「世界で八人だけの人類」にとなった彼らは、もはや部活などできる状態ではなく、唯一部長の宮澄見里だけが夏休みの課題であるラジオ放送用のアンテナを組み立てる活動を行っている状態であった。

そんなある日、偶然町はずれの祠にあった一冊のノートを発見した太一は、人類の存在しないこの世界の”ある秘密”を知る。

閉じた世界の中で、太一は仲間たちとふれあい、衝突し、そして和解していく。
その果てで彼は、ひとつの決断を下そうとしていた――

チェックポイント！

プレイヤーの心理状態によって評価が分かれる作品

商業作品のほとんどは、エンターテイメント性を重要視して創られる。なぜならば、売れなければ困るからだ。

しかし本作はその数少ない例外の一つである。

初めに言っておくが、一によっては本作は理解不可能の駄作となる可能性がある。本作のライターは恐らくプレイヤーを楽しませることを最優先してこの物語を書いてはいない。
筆者の感想はと言えば、単純なエンターテイメント作品としてとらえれば”普通”である。

しかし本作にはそれ以上のメッセージ性が含まれている。正直に申し上げると、筆者の貧弱な感性ではそれがどういったものなのか具体的に感じ取ることはできなかった。

ただ、それでも一つだけ言えることがあるとしたら、本作は何らかの心の闇を抱える人にプレイしてほしい。

「学校でいじめを受けている」「職場で上司にパワハラを受けている」「家庭で両親から虐待を受けている」

上記のような人は（専門家に相談する事に加え）本作をプレイしてみれば何かの助けになるかもしれない。

ただそれは、「登場人物が苦難を乗り越えていく姿から勇気をもらって明日を力強く生きていこう」といった趣旨の前向きな助けではない。

ただひたすらに自分の内面と向き合い、孤独とは何か、絶望とは何か、人との関わり合いとはなんなのか。そういった事を再認識して、冷静さを取り戻すといった趣旨の助けである。
（※筆者はカウンセラーでも精神科医でもないので責任は負いかねます、あしからず）

社会になじめない人へ

本作の設定背景に”適応係数”というものがある。

これは、個人の一般社会との適応、あるいは非適応の度合いを表した数値である。

適応係数はパーセンテージであらわされ、数字が大きいほと重篤であるとされる。本作の主人公は学院で最も適応係数の高い（84%）人物である。

このページでは、本作については多くは語らない。是非とも自身でプレイして、この筆舌に尽くしがたい感情を体験してほしい。

最後に、この作品の雰囲気を表しているとされる画像を、筆者の独断と偏見で選んだ。参考にしていただければ幸いである。

ちなみに、ライトノベルを書く上で本作が役立つかどうかは、この作品に限ってはあなた次第である。

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