【腐り姫】

〜euthanasia〜



-また、会うたな-
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あらすじ

父親と妹が謎の死を遂げ、主人公は天涯孤独にして記憶を喪失していた。

精神を休めるため、彼は義母に連れられて故郷の町であるとうかんもりに帰ってきた。そこで彼は失った妹に面影が重なる深紅の着物の少女、蔵女と出会う。

周りの家族や友人たちは、彼の回復を望む一方、何かを隠しているように見える。罪の意識を潜ませた彼らの心の闇に忍び込み、あまりに甘美な肉欲と狂気の夢を与える蔵女。やがて人々は身も心も崩壊させていく。

失われた記憶を少しづつ取り戻すにつれ、家族や友人の真実の姿を思い出し、苦悩する主人公。そんな彼の姿を、遥か高みから見つめる蔵女。

古来より伝承される「腐り姫の伝説」。死んだ家族の影。それら全ては複雑に絡み合っていく。狂気の果てに、赤い雪が降る時、世界が漆黒の死の静寂に包まれる。

彼は繰り返す、現実と非現実の狭間にある4日間を――


チェックポイント!

ノスタルジーを感じさせる過去の名作

数あるエロゲーメーカーの中でも、一風変わった異色作を発表している「Liar Soft」。

本作は同メーカーが2002年に発売した、古き良き名作である。

落ち着いた音楽と、ノスタルジーを感じさせる独特の絵柄で、プレイヤーはまどろみの世界にどっぷり浸ることができる。

また音楽も秀逸で、ひとたびプレイを開始すれば、心は「腐り姫」の狂気とまどろみの世界へと旅立ってしまう事請け合いだ。

本作は、昨今のエロゲーに慣れている人がプレイすると、最初は戸惑うかもしれない。

例えばCGの表現の仕方一つとっても他とは一味違っている。

本作にはエロゲーの基本の型ともいえるキャラクターの「立ち絵」がないのだ。その変わり、風景画に登場人物を溶け込ませるという表現方法をとっている。

キャラクターの表情を描写したい時は、バストアップを使用し、やはり立ち絵は使われない。

ある種のこだわりが感じられるが、作品作りにおいて従来の作法、もとい固定概念にとらわれない発想は、見習うべきだ。


黎明期のループもの

今ではあらゆるエンターテイメントで使われれるようになった「ループもの」の黎明期の作品である。

田舎の風景や、赤い雪などの幻想的な世界観が特徴で、プレイ中に思わず現実世界から心が離れてしまう。

主人公の周辺の閉じた世界での話なので、行動範囲としての幅はあまりないが、それ故に掘り下げがしっかりとしている。

「狭く深く」を地で行く作品創りの姿勢で、考察大好きの玄人好みの一品と言えるだろう。

世界観がしっかりとしたライトノベルが書きたい人へ

本作は「腐り姫」という伝承を物語の軸としており、いわゆる「作中作」を中心に物語が展開していく。

ライトノベルにおいても、「伝奇、伝承もの」はポピュラーではないものの、確実に一定の人気を獲得できるジャンルである。

また、本作の「世界観」は、筆者が体験してきた数多の作品の中でも一級品で、本当に現実世界から心が旅立ちかけたことがある。

それだけ作中の設定がしっかりしている証拠であるし、またそれを的確にプレイヤーに伝える技量をライターが持ち合わせているということだ。

ここから学べることは多くある。

特にライトノベルは、その世界観をほぼ文章だけで伝えなければならない。これは中々に高いハードルだ。

もちろん挿絵はつくのだが、無名の新人が最初から「いとうのぢ」や「ブリキ」のような超一流イラストレーターに描いてもらえる可能性などほぼない。

つまり、最初から絵師に期待しないほうが良いのである。

となれば、頼りになるのは自らの筆力だけだ。

「腐り姫」をプレイして、読者を作品世界にどっぷり浸らせる世界観の構成力を身に着けよう。


まとめ

いかがだっただろうか。
ここで最後に、ライトノベルと挿絵の関係に関して僭越ながら一言申し上げたいと思う。

よくライトノベルは「絵さえよければ売れる」と言われるが、本当のところはどうだろうか。
ほとんどの人は心の奥底では気づいていると思うが、そんなことは絶対にない。

もちろん出版社がライトノベルを出版するにおいて、挿絵を重要なファクターとして計算していることは間違いない。

ただし、あくまでライトノベルは「本文」がメインであって、挿絵はそれをさらに引き立たせるものに過ぎない。

ものすごく失礼な例を出すが、どれだけ高級ブランドの一流デザイナーがデザインした服を着ても、顔や体型がまずければまったく意味がないのと同じである。

よしんば「表紙買い」を誘えたとしても、後が続かないため結局はじり貧である。
いや、むしろ絵師と本文のレベルがあまりにもかけ離れていると、逆に悪印象になりかねない。

「絵がすごく良いから期待して買ったのに、中身がまったく面白くない。語彙力がまったくないし、世界観もぼやけていて、ストーリーも面白くない。誰だこの作者は? エロゲ猫? こいつの作品は金輪際買うことはないな」

挿絵に頼ろうとしている方は、今一度考えてみてほしい。こんな未来は幸せですか?


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