【カタハネ】

-アーイーン。バイ、バイ-

あらすじ

物語は”ココ”から始まる

この世界には、「カーディナル」と「ブリュー」という大国が存在していた。

それぞれ、「赤の国」「青の国」と呼ばれた両国が『平和の象徴』としてお互いの王家の血を引く者を婚姻させ、国境に「ヴァイス(白の国)」という国を建国した。

この度、記念式典を開くことになり、白の国の姫「クリスティナ」と、赤の国の国宝である人形の「エファ」、そして青の国の人形「ココ」の三人が、「天使の羽ばたき」という舞台劇を演じることになった。

白の国の城で、劇の練習に励みながら交流を深めていく3人。
やがて劇のリハーサルを迎えるココたちだが、その裏には、三国の友好状態を不都合とする者たちによる陰謀が隠されていた――


チェックポイント!

子供向けファンタジーを装った、骨太作品

本作は、これまで紹介してきたエロゲーの中ではマイナーな部類に入る。決して無名作品ではないのだが、どちらかと言えば「知る人ぞ知る」隠れた名作と言えるだろう。

エロゲーの重要ファクターである「絵」を見てみると、本作の子供向けアニメのような絵柄に面食らう人も多いだろう。日曜の朝7時から放送していそうである。


が、その実本作は骨太の「異世界ファンタジー」だ。

物語は複数の登場人物の視点から話を展開させる「群像劇」の手法を採用。
序盤ごくごく平凡で、それこそ子供向けアニメのようだが、後半に入ると政治的思想が絡んだ血なまぐさい陰謀劇が開始する。

また、人と人形の悲哀など、泣きゲーの要素もはらんでいる。


異世界ファンタジーが書きたい人へ

ライトノベルの人気ジャンルの一つと言えるのが、「ゼロの使い魔」や「狼と香辛料」をはじめとした異世界ファンタジーだろう。

ライトノベル作家志望の方にも、異世界ファンタジーを書きたい人は多いと考える。だが、異世界ファンタジーを書くのは口で言うほど簡単なことではない。

アマチュアでくすぶっている人によくある勘違いが、「ファンタジーだから何でもあり」という思考である。

ファンタジーだから、魔法でどこにでもテレポートできるし怪我や病気も直せる。

上記のような設定はよくあるが、そんな世界で鉄道が走っていたり病院が平然と存在していたりしたらお笑いだ。

テレポートできるのにどうして人は列車に乗るのか、魔法で怪我や病気が直せるのにどうして病院が成り立つのか。素人の作品にはこういった矛盾点が平然とつづられているのだ。

もちろん、だからといってテレポートができる世界に列車を走らせるな。魔法で怪我や病気が直せる世界に病院を存在させるなと言っているのではない。

そこに制約を持たせればいいだけである。

例えば、テレポートを行うには魔力を消費するため、長距離移動はできない。あるいは、テレポートは自由自在だが、その世界の鉄道会社は味気のないテレポートでは決して味わうことのできない良質のサービスを車内で提供しており、貴族がこぞって利用している。などでもいい。

こういった制約を設け、その世界にリアリティを持たせなければファンタジーはただのホラ話になってしまう。

ある意味現代物を書くよりも、社会がどうやって成り立っているのかを深く知っている必要があるのだ。
とは言え、今から社会科の勉強をしようったってそう簡単にはいかない。ではどうするか。現存するファンタジー作品の世界を「真似る」のである。

真似るといっても、それはパクリとは違う。

プロの作品ですでに出来上がった世界観を借りてきて、そこに自分なりのアレンジを加えてまったく別のものに作り替えるのである。実はこの方法は第一線で活躍しているプロの作家も好んで使う。

素人の中には「真似」や「アレンジ」といった言葉が嫌いで、一からすべて自分の力で作り上げてやると意気込んでいる人も多い。

はっきり言うが、世紀の天才でない限り、その思考のままでは一生世に出ない可能性が高い。

例えば、サザンオールスターズの桑田佳祐がビートルズを聞いて育ったように、「進撃の巨人」の作者が「マブラブオルタネイティブ」をプレイして漫画家を志したように創作を行う人には、必ずベースとなるクリエイターや作品が胸にしまわれていて、その土壌の上で自分なりのアレンジを加えて新たな名作を生み出すのである。

この世に完全オリジナルストーリーと呼べるものなど、「神話」しかない。つまり、この世のあらゆる創作物のルーツをたどってたどり着くのが「神話」なのだ。

だが、神話をベースにファンタジーを創ろうなど、ハードルが高すぎる。そこで、カタハネの世界を体験して自作ファンタジーの土壌するのである。

なぜ「カタハネ」?

現存するファンタジー作品の世界観を借りて、自作のベースとする。その理屈はわかったけれど、なぜそのベースとなる作品が「カタハネ」であるべきなのか。

こう疑問に思う人もいるだろう。

それこそ「ゼロの使い魔」や「狼と香辛料」をベースにしたってよいのではないか。

その疑問はもっともであるが、まずは言っておきたいことがある。それは「ライトノベルを書くのに、ライトノベル作品を参考にしないほうがいい」ということである。

それを実証するのに、一昔前に話題になったこんな逸話がある。
とある就活生が某有名ゲーム会社の面接で熱心に自分のゲームに対する情熱を語った。すると面接官はこういったのだ。

「ゲームが作りたいならゲームをやるよりも、たくさん本を読んだ方がいいですよ」

つまり、何か創作物を創るなら、同ジャンルからではなく他ジャンルからアイディアを借りてこいということだ。当然である。ライトノベルが大好きな人が、別のライトノベルを参考にして書いたライトノベルを読んだとしたら、きっと「この作品、何かに似ているな」と思うであろう。その点、待ったく別のジャンルから借り物をすれば、それは逆に新鮮に映るのだ。

実は本サイト「エロゲーをプレイして、ライトノベルを書こう」の真意もそこにある。別の媒体の物語からアイディアをもってきて、ライトノベルに新たな風を吹かそうぜということなのだ。

映画やドラマといったものも、別ジャンルではあるが「ライトノベル」からは少々かけ離れすぎているきらいがある。もちろん創作の糧にする分にはそういったジャンルの作品もたくさん鑑賞するべきだが、あくまでもアイディアを拝借するにはエロゲーが別ジャンルでありながらほどよく似通った属性を持っていて最適なのである。

まとめ

さて、最後に根本的なことを言うがライトノベル作家になりたいならたくさん勉強をしたほうがいい。

いきなり何を言い出すんだと思われるかもしれない。筆者が言いたいのはたくさんの知識を身につけようということなのだ。これは筆者の後悔でもある

異世界ファンタジーを書くにあたって「世界史」は大いに役に立つ。今しがた他ジャンルのファンタジーをベースにすれば良いといったばかりじゃないかと思われるかもしれない。

それはその通りなのだが、高校の「世界史」で学ぶようなまっとうな知識を持っておけば、いざ自分でアレンジするときに無茶な設定になりにくいということだ。

少々説教臭くなったが、これにて「カタハネ」の作品紹介を終わりにさせてもらう。



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