あらすじ

主人公、人見 広介（ひとみ　ひろすけ）は、とある女子高の教育実習生。

ある日彼は、美しい天使が異形の化け物に犯される夢を見るようになる。

彼はそのことを学校の保険医に相談するようになるが、ある時夢の中で見た天使そっくりの少女と対面する。

世界は永久の夕暮れに、深まる狂気、その行き着く先は――

チェックポイント！

その界隈では有名な伝説の狂気ゲー

プレイすると、精神に異常をきたす――

そんな「いわく付き」のこの作品の名を一度は耳にしたことがあるかもしれない。

エロゲー界の暗部に潜む、３大電波ゲー。

それが「ジサツのための101の方法」 [終ノ空] そして本作「さよならを教えて」だ。

2001年の発売以来、鬱ゲーの頂点に君臨し続ける作品にして、Amazonの新品価格が10万を越える超プレミア作品である。

今ではあそBD版や、ダウンロード販売も普及し、プレイするだけならば大枚をはたかなくてもよくなった。

夕暮れ時が支配する

音楽、原画、シナリオ。

それら全てが高クオリティーで折り重なり、本作の鬱ワールドを構成している。

本作ではCGがほぼ全て夕暮れ時のオレンジを帯びており、全篇を通して陰鬱な気持ちにさせられる。

良く言えば「陶酔」だろうか。

人によっては、この世界観を気に入り、どっぷり浸れるかもしれない。

「精神世界」を書きたい人へ

はっきり言って、エンターテイメントからはかけ離れた作品である。

系統としては「沙耶の唄」に近いかもしれないが、あちらよりもさらに陰鬱で哲学的で狂気的だ。

明らかに常軌を逸している主人公の一人称で物語が進み、さらに主人公の独白がかなりの割合を占めているため、プレイヤーは主人公のカオスな精神世界に放り出されたまま彷徨うことになる。

あるいは、もしかしたらこの主人公に感情移入できてしまう稀有な方も存在するかもしれない。

ライトノベルで狂気的な人物を扱った作品と言えば、真っ先に思いつくのが「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」だろうか。

実は筆者はこの作品を読んでいる時、あまりの気味悪さと意味のわからなさで放り投げてしまった。

しかし「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」は発行部数130万部を超えており、映画化も果たしている紛れもないヒット作である。

つまり、こういう精神世界を描く作品が好きな読者は、確実に存在しているということだ。

作家を目指す人は往々にして「変わった人」が多いという。

このテンプレなイメージを信じるかどうかは別として、そういう人が無理して王道の作品を書こうとするより、あえて浮世離れした自分の精神世界を全面的に押し出した作品を創れば、大ヒットとはいかずともそれで飯が食えるくらいの作品ならばできあがるかもしれない。

しかし自分の中に存在するある種の「異常性」を世間に発信する、いわば「カミングアウト」がどうしてもできないという人は、本作「さよならを教えて」をプレイしてみよう。

プレイ後、自分がどういった感想を抱くか。人間の許容範囲は思ったよりも広いものだと気づくのではなかろうか。

まとめ

いかがだっただろうか。

本作は、筆者がエロゲーを始めようと決意した当初から知っていた作品だった。

まだ学生で東京に住んでいたころ、某エロゲー専門店のショーケースに6万円を超えるプレミア価格で陳列されていたこの作品を見たときは、中々の衝撃を受けたものだ。

それは3年以上前、自分がよもやこんなサイトを立ち上げることになろうとは思いもしていなかった頃である。

少々自己語り的なまとめになってしまった。それもまた、本作をプレイした影響かもしれない。

皆さんも是非この狂気をご体験あれ。

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