【Angel Beats! The Making】

ドキュメンタリーの概要

創作ドキュメンタリーコーナー、第一回は、あの大人気アニメ「Angel Beats! 」の創作過程を描いたドキュメンタリーだ。

このアニメはkeyの大人気ライター麻枝准がシナリオを担当するとあって、放送前から注目度が高かった。

ドキュメンタリーの内容は、麻枝准へのインタビューを中心とし、シナリオ、映像制作、セリフの熟考と幅広い。

様々な分野のクリエイターたちが登場するこのドキュメンタリーを観て、大いに刺激を受けてほしい。

みどころ！

麻枝准の苦悩

このドキュメンタリーの主役は何といっても麻枝准その人である。

Keyのシナリオライターとしてシナリオを担当した「KANON」「AIR」「CLANNAD」そして「リトルバスターズ」は、いずれも大ヒットを記録し、エロゲー界に大きな影響を与えた。

そんな誰もが天才としてあがめる彼だが、インタビューでも語られているように、Keyの立ち上げ当初のメインライターは彼ではなく別の人物だった。

そしてその人物は麻枝准をもってして「天才」と言わしめるほどの才人であり、麻枝准はどうやったら彼のような物語が書けるのか日夜研究に励んだという。

世の中の「天才」と呼ばれている人のほとんどが「努力の天才」なのであって、才能一つで現在の地位まで上り詰めた訳ではないことが実感できる。

グラフィックへのこだわり

Angel Beats!　の大きな魅力の一つがその美麗なグラフィックである。

監督曰く、通常のアニメであれば動画枚数は多くて6000～7000枚と言われる中、Angel Beats!では10000枚を上回る膨大な量を費やしている。

監督が冗談交じりに語った「1日が48時間あれば」という発言は、ある意味心の叫びだったと言えよう。

あらゆるクリエイターが「時間」と戦っている。あなたがラノベ作家となったあかつきには「1日が48時間あれば」と思えるほどの人気を得られるだろうか。

セリフへのこだわり

ラノベ作家に最も通ずるのが、セリフ選定のこの場面だろう。

アニメ制作スタッフ達は当然のことながら、セリフのチェックにも余念がない。

本作のラストシーンで「ごめんね」というセリフを挿入するか否か、音響監督も交えて熱い議論が起きている。

登場人物の心情を鑑みて、どんなセリフが最適なのか思いをはせる。

本ドキュメンタリーでセリフに対する議論が起こるのは１シーンだけだが、実際には他にもたくさんのセリフで改変が行われているはずだ。

ライトノベルを書く上でもセリフは最重要ポイントだ。

読者が作品を読んでいる途中で「こいつがこんなこと言うか？」という違和感を感じさせては最後、読者は物語の世界から覚めてしまう。

まとめ

いかがだっただろうか。

本ドキュメンタリーを観れば、作品を創るということがどれほど大変なことなのか実感できるはずだ。麻枝准も語るように、生みの苦しみとは本当に生きるか死ぬかの際で戦うことなのだ。

それでもどうしても、どうしようもなくクリエイトせざるを得ない人々だけがクリエイターとして生きていくことができる。本ドキュメンタリーを観て、あなたも今一度自分の創作に対する思いに目を向けてみよう。