-それは世界を侵す恋-

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あらすじ

医学部に通うの匂坂郁紀は、交通事故により瀕死の重傷を負うが、奇跡的に助かる。だが、通っていた大学に復帰した彼は、わざと周りにに嫌われる様な言動をとり、人間関係を断ち切ろうとしていた。

彼の心配をする友人たちだったが、匂坂は周りから差し伸べられる救いの手を拒絶する訳があった。

匂坂は交通事故による後遺症で脳に障害を負い、世界のすべてのものが異様な姿で見えるようになってしまったのだ。

街の建物は動物の内臓をぶちまけて塗りたくった様に、人間は思わず目をそらしたくなるような肉塊に見え、周囲の会話は呻き声や金切り声に聞こえ、触れた感触ですら尋常ではなくなっていた。

自分以外の全てが異常で気が狂いそうになる世界の中、孤独な入院生活を送っていたある日、匂坂の前に沙耶という一人の少女が現れる。

沙耶だけはなぜか普通の人間の姿に見え、触れたときに温かみを感じることもできた。やがて匂坂は彼女に惹かれ、彼女と一緒に暮らし始める。

世界のすべてを拒絶した、二人の究極の純愛の行方は――


チェックポイント!

狂気、グロ、純愛の詰まった異色作品

狂気ゲーにして、グロゲー、そして純愛ゲーである。

エロゲーのほとんどは、主人公の一人称の視点から語られるが、本作もその例外ではない。

そして、その視点の役割を持つ主人公が、周りの世界を狂気に染められてしまっているため、プレイヤーは主人公に同化することで極めて異質な世界体験をすることになる。


閉じた世界の二人

本作では、主人公はヒロインの沙耶以外のすべてが拒絶するべきグロテスクな存在となっているため、彼女だけを自分の世界として認識する。

また、沙耶もそれに答えるように主人公に執心しするため、本作では二人だけの極めて閉じた世界でのストーリーが展開される。

これが本作を「純愛ゲー」と言わしめる要因である。

沙耶が何者であるかは重大なネタバレなるため、ここには書けない。ぜひともご自身でプレイして、真相を確かめてほしい。

「二人だけの世界」が書きたい人へ

エロゲーにも、ライトノベルにも「二人だけの世界」を描く作品は多い。

しかしそのほとんどは、特殊な病気や境遇の一致など、「心理面」で孤立してしまっているということが理由になっている場合が多い。

もっともわかりやすい例が「駆け落ち」だ。

周りに祝福されない二人が逃避行に走るというのは、あらゆるエンターテイメント作品で定番だが、それはあくまでも心理的な孤立に過ぎない。

しかし本作の場合は、主人公が認識する世界そのものが沙耶以外は狂気と映っているため、「物理面」でも二人は孤立している。考えるのも恐ろしいことだが、主人公にとっては生きるために必要な食べ物でさえ、動物の臓物のように映っているのだ。

そうなれば必然的に互いが依存し合わざるを得なくなる。もうお互い以外にすがるものがないのだ。

話は変わるが、ライトノベル作家志望の皆様はどんな物語が書きたいだろうか。

「ゼロの使い魔」のような壮大なスケールで展開するバトルファンタジー?
それとも「はがない」のような現実世界で美少女たちと楽しく過ごす、学園ラブコメ?
はたまた「半分の月がのぼる空」のような、現実路線のまじめなラブロマンスだろうか。

恐らくほとんどの人は、作品を書く上で主人公を何らかの形で社会や他者と関わりを持たせるだろう。そうでなければ物語を展開していくのは極めて難しい。

しかしだ、「社会や他者との関わりを一切断って、完全に主人公とヒロインだけの閉じた世界で展開される」物語を書きたい人がいたら……。

本作は非常に参考になるだろう。

個人的な意見になるが、そういったタイプの作品を書くのは商業的には圧倒的にお勧めできない。

作品の世界が一切広がらず、ひたすら二人の人間の交わりだけで物語を構築するには、天才レベルの才能を必要とする。

もしあなたが天才で、そのタイプの素晴らしい作品を世に送り出したとしても、それは「知る人ぞ知る」名作にしかならない。商業面で不利なのだ。下手をすると、文学的には優れていても、採算が見込めず、出版社から拒否されるかもしれない。

金などいらない、ひたすら芸術性を高めていきたいという稀有な人がいれば、本作をプレイしてみよう。

そういう人はラノベ作家には向かないかもしれないけれど。

まとめ

いかがだっただろうか。

最後に本作をプレイする上での注意点を述べる。
まず、本作では少しグロテスクな表現が挿入される。

筆者的にはグロレベルはそれほど大したことはないが、グロ耐性は人によるので、こればかりは何とも言えない。

エロゲーにはなぜかグロい表現をする作品がいくつかある。
グロを表現することで、プレイヤーに強い印象を与えたい。グロという話題性で商業的宣伝を狙いたい。色々な理由があるかもしれない。しかし筆者はこう考えている。

エロゲーを創る人というのは、どこまでいっても「芸術家」なのではないかと。
独特の感性と、あまりにも強い表現への熱意が、グロという表現ににじみ出てしまうのではないかと。

ただ作品を創りたいだけなら、それこそライトノベルや漫画などの媒体で発表したほうが注目を得られる確率は高い。にも拘わらず、「エロゲー」という表現媒体を選んだクリエイターの事。

彼らの心情、そしてそこから自分が吸収できるものは何なのか。
一度立ち止まって、考えてもらえたら幸いである。


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