あらすじ

主人公拓也は平凡な大学生。

彼は、付き合っている彼女の由紀と卒業旅行に行くための資金を稼ぐべく、三澤家で住み込みの家庭教師をすることになる。

大豪邸であるこの家の主、三澤松太郎は某不動産会社の創業者。

前妻に先立たれた彼は、今は30歳以上も歳の離れた女性である三澤香織と再婚。

一見幸せに見える一家だったが、時折見え隠れする家族間の確執。そして徐々に明らかになる三澤家の”真実”。

急転直下のラストシーンまで目が離せない、リアル人間ドラマ。

チェックポイント！

老舗メーカーelfの作品

エロゲー界では老舗ともいえるメーカー、elfの作品である。

同社は、古き名作「同級生」や「僕の彼女はガテン系」といった変わり種まで幅広い作風を擁する。

老舗だけあってクオリティには定評があり、本作でも美麗なCGや、ヌルヌル動くアニメーションなど妥協のない作品創りの姿勢がうかがえる。

高クオリティのアニメ―ションにも注目

上でも述べたが、本作はエロシーンがフルアニメーションになっている。このクオリティが非常に高い。

School Days等、他にもエロシーンがアニメーションになっている作品は多数ある。

しかし本作のアニメ―ションは、騎乗位で弾むおっぱいの揺れまでが忠実に再現されていることなど、エロゲーの中でも頭ひとつ抜けている。

「リアル人間ドラマ」を書きたい人へ

とある一族のしがらみを描いた本作は、昼ドラのようなリアル人間ドラマの路線をとっている。

エロゲーの中では「君が望む永遠」や「SWAN SONG」の系統に近いかもしれない。

それゆえ、CGもあまりアニメチックではなく、やや写実的である。

本作の登場人物は概して裏を持っている者が多く、物語の終盤では序盤で構築されていた人間関係が崩壊するほどの展開を見せる。

ライトノベルでリアル路線の作品と言えば「半分の月がのぼる空」「文学少女」等が挙げられる。

とかくファンタジーがもてはやされるライトノベルだが、ファンタジーでヒットを飛ばすには、現代物で同じことをやるよりもはるかに難しい。 自分のまったく知らない想像の世界を描くのだから当然だ。

初心者はまず現代物を書いてみることを強くお勧めする。

そして現代物の中でも「一族」を描いた作品はまだライトノベルで未開拓の領域であり、ねらい目だ。

「犬神家の一族」や「うみねこのなく頃に」など、ライトノベル以外の媒体では「一族」を描いて大ヒットを飛ばした作品は多数ある。

つまり、確実にニーズのあるジャンルということだ。

本作のあまりにも人間臭すぎる登場人物たちの織りなす物語を体験すれば、否が応でも生身の人間を描くスキルが多少は身につくだろう。

ちなみに本作のクライマックスでは、開いた口が塞がらない展開が待っている。

最初に述べたように、それまで主人公にかかわっていた人たちの素顔が一度に白日の元にさらされるのだ。

この衝撃、是非とも味わってみるべきである。

まとめ

いかがだっただろうか。

本作は選択肢を間違えることでいくつかのバッドエンドを迎えるが、そのバッドエンドがどこか不可解なのである。

だが、本作のすごいところは、そのバッドエンドの不可解さが、トゥルーエンドを見ることで筋が通るところだ。 実際にプレイしてみなければこの意味はまったく分からないだろう。

事実、筆者も50本近くのエロゲーをプレイしてきて、こんな話のつながり方をする作品に出合ったのは初めてだった。

自信をもってお勧めする。

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