あらすじ

主人公、仁野恭司は家庭の事情で故郷に帰ってきた。

そこで摩訶不思議な雰囲気を持つ少女ユカに出合う。彼女はその傍らに、自らに付き従う異形の怪物ゴアを携えていた。

なりゆきから恭司は、彼女らと関わる羽目になってしまい、平穏を侵されていく。

人間を凌駕する力を持つゴアと不気味なユカに主人公とヒロイン達は翻弄され、さらに彼女らに妊娠中の妻を殺された恨みを持つ八瀬由規も登場し、物語は混迷を極めていく。

過去に起こった凄惨な閉じ込め事件に秘められた、ユカの悲しき過去とは――

チェックポイント！

猟奇ホラー、要注意

ブラック・サイクというエロゲーメーカーから発売された本作。

このメーカーの特色は、極度のグロとホラーを盛り込んだ作品を発表することである。

「沙耶の唄」に登場するグロは、まだ何とか許容範囲ではあったが、本作のグロCGの一部はさすがに冗談では済まない物もある。

また、ホラーとしての要素も強く、プレイ中に突然大きな音が鳴ったりするため、静かなシーンでも気が気ではない精神状態を強いられる。

対策として、しっかりフィルターをかけられるようになっているので、グロが苦手な人は忘れずに設定しておこう。

忘れてトラウマを植え付けられても、筆者は責任を持ちません。

しかしホラーだけで終わらない作品でもある

本作はエロゲーの特性をフルに生かしたホラー作品である。

内臓スプラッターは当たり前、異形の化け物面のドアップ上等というやりたい放題仕様なので、何度も言うが苦手な人はフィルター設定を忘れずに。

しかし本作はホラー、グロだけの作品ではない。そうであれば、ここでは紹介しない。

残虐非道な行いをする者にも、はっきりとそうなった理由が描かれており、単なる勧善懲悪に終始しない奥深さがある。

トゥルールートでは思わぬ感動シーンもあり、ただのゲテモノ作品と切って捨てるにはあまりに惜しい一作である。

本格ホラーライトノベルが書きたい人へ

ライトノベルのホラー作品で大ヒットしている作品は、あまり見当たらない。

そもそも、ホラージャンルのライトノベルが圧倒的に少ない。幽霊や化け物が出てくる作品は多数あるが、読者を精神的に追い詰めるような物語展開をするものはほとんどない。

基本的にライトノベルは「バトル」や「コメディ」が主流で、売れている作品も必然的にそういったジャンルが多くなってくる。



――なんだ、じゃあホラー系のライトノベルを書くのはやめておこう。

もしかして今あなたはそう思っただろうか。 もしそう思った方がいたら、今すぐに考えを改めたほうがいい。

少数派のジャンルというのは、つまりは未開拓の地ということなのだ。果敢に切り込んでいけば、ホラー系ライトノベルの第一人者になれる可能性がある。

流行というのは、それが流行していると分かった時点では波に乗るのはもう遅い。 ある有名ライトノベルレーベルの編集者が、こんな言葉を残している。


「ハルヒがヒットした年の新人賞には、ハルヒみたいな作品が、とある魔術の禁書目録がヒットした年には、とある魔術の禁書目録に似た作品がたくさん送られてくる。 でも僕らが求めているのは既存作品の二番煎じではなくて、次の流行を作っていけるような作品なんだ」

至極まっとうな意見だろう。 流行に飛びつき、真似をしようとするタイプの人間は、流行を作り出すべき側のライトノベル作家としては致命的な思考の持ち主と言える。
直ちに矯正したほうが良いだろう。
作品の説明に戻るが、本作は色々とやりすぎな部分はあるものの、ホラーとしてはかなり秀逸な作品だ。

筆者もプレイ中は、通常のエロゲーと比べて心臓の鼓動が３〜４倍速になったものだし、急にホラー画像が出てきてビクッと体を震わせたものだ。

対策として、ヤバそうな雰囲気のシーンになってくると、本で画面の一部を隠したり、イヤホンを片耳外して精神的ダメージを軽減させようと試みたりした。

今こうして書くと笑えるが、プレイ中はそれはそれは切実だったのだ。

また、本作はそういった視覚・聴覚的な怖さに限らず、「年端もいかない少女が井戸に閉じ込められる」「その中で生理が始まってしまう」などのシチュエーション的な怖さも兼ね揃えている。

恐怖を煽る文章の書き方も秀逸で、まるで濁った冷水の中に終始浸かっているような気分を味あわされる。

ホラーものを書きたいなら、必ずや参考になると断言できる。

まとめ

いかがだっただろうか。
最後に「エロとホラーの関係」について述べておこう。

実はエロとホラーは実に相性が良いのだ。エロティックホラーというジャンルが確立しつつあるくらいなのである。 その理由は科学的に説明できる。

人間は恐怖を感じる、つまり身の危険を感じることで「性欲が高まる」のである。 なぜならば、人間は本能的に子孫を残そうとする習性があるが、自分がもうすぐ死ぬとなればそれは緊急命題になるからだ。 死ぬ前に子孫を残さなければと思う訳である。

この「ゴア・スクリーミング・ショウ」という作品であるが、実はエロシーンの実用性が高い。非常にエロいのである。 これはプレイヤーが物語を進める中で恐怖を感じ、性欲が高まるからというのも一因であるが、声優の実力や絵柄そのものが官能的という理由もある（下に画像例を載せる）。

本サイトの作品紹介では、エロに焦点を当てることはほぼないが、こういった研究目的では話は別だ。 エロを科学的に考えるというのは、それだけで一つのライトノベル作品になるかもしれない。

固定概念にとらわれず、様々な視点で創作の可能性を模索していってほしい。

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