あらすじ

元禄14年3月14日に起こった浅野内匠頭の刃傷を契機とした赤穂藩の改易。それにより家禄を失いながらも、亡君の仇である吉良上野介を討つべく立ち上がった四十六人の浪士たち。

平和な平成の世に住む少年深海直刃は、そんな時代に一人タイムスリップでやって来てしまった。

突然の事に戸惑いながらも、直刃は浪士たちとともに、悲願の仇討ちに邁進することとなった。

常に死と隣り合わせの状況の中、彼は無事生きて平成の世に戻ることができるのか。

チェックポイント！

「隠れた名作」を地で行く「Inre」渾身の作品

元は同人作品として発表されいてたものが、追加シナリオを加えて商業作品として発売された本作。

新興ブランドとは思えないほどの高クオリティな仕上がりで、あっという間にエロゲーファンの心を鷲掴みにした「隠れた名作」。

ファンディスクの発売や、Play Station VITAでのコンシューマー移植版の発売など、さらなる広がりを見せている注目作だ。

「忠臣蔵」の見事なオマージュ

「忠臣蔵」という作品名を聞いたことの無い人はいないだろう。

江戸時代中期の「仇討ち」を描いた、日本人の魂とも呼べる名作だ。

現在でも映画やテレビドラマが放映されるなど、その人気は衰えを見せない。

本作はその「忠臣蔵」をエロゲー化した作品であり、登場人物の多くが女性（美少女）化されている。

"世界観"を深めたい人へ

この作品の優れた点の一つは、江戸時代という時代の「空気」を見事に表現している点だ。

もっとも、今生きている人で江戸時代を経験したことのある人はいないので、それが正しい物なのかどうかは誰にも判断することはできない。

それでも、この作品で描かれる「武士」の誇り高い生き様は、圧倒的リアリティと存在感をもってプレイヤーに襲い掛かる。

「武士道とは死ぬことと見つけたり」

恥をさらして生きながらえるくらいなら、誇りをもって死ぬ方を選んだのが当時の「武士」だった。
小説を書く上で「世界観」が重要だとよく言われるが、筆者はこの「世界観」の根幹をなすものはその時代（世界）に生きる人々の「価値観」ではないかと思っている。

「ChuSinGura46+1」という作品一つとっても、仇討ちを行えば間違いなく幕府から切腹を命じられるのをわかっていながら、赤穂四十七士は喜び勇んで討ち入りを決行した。

それは彼らにとって、己の命よりも亡き主君の名誉の方が遥かに重かったからに他ならない（しかし彼らは決して「犬死」を是としなかった）。

この価値観が本作全体を流れる独特の緊張感を形成し、それがプレイヤーの没入感を深めている。

ライトノベルにおいても、「ゼロの使い魔」の平賀才人は、貴族たちが名誉のために平気で命を捨てようとしているのを見て、衝撃を受けている。

また、時代や世界といった大きなくくりに限らず、例えば学校や会社等にもそれぞれ「校風」「社風」というものがある。これもまた限定された空間の中での「世界観」である。

世界観は作品の「深み」に大きく影響を及ぼす。

「ライト」ノベルという事で勘違いをしている人は多いが、「読みやすい」という事は「深みがない」ことと同義ではない。

「ChuSinGura46+1」をプレイして、世界観の構築を深めてみよう。

まとめ

いかがだっただろうか。

本作はもちろん「忠臣蔵」のストーリーをまったく知らない人でも楽しめるようになっている。
他ならぬ筆者がそうだった。

プレイ後興味が沸けば、歌舞伎やテレビドラマに手を出してみるのも一興だろう。

原作がエロゲーとしてどのようにアレンジされているのかを考察すれば、より深い気づきが得られるだろう。

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