あらすじ

一風変わった教育方針を掲げる川神学園では、ユニークな行事・授業が行われていた。

その一つは、学校側が認めれば生徒同士がどんな形式で戦っても良いという、「決闘」制度。

そんな学園に通う主人公の周りには、強くてしなやかな武士娘があふれていた。

武道の心得はなくとも、ずば抜けた頭脳を持つ彼は、彼女たちと触れ合う中で自身を成長させていく。

そんな彼らの過ごす平凡な日常の裏に確かに存在する闇は、静かに彼らの背後に迫っていた――

チェックポイント！

振興ブランド”みなとそふと”第2弾！

エロゲー界では有名な実力派ライター「タカヒロ」が独立して立ち上げた「みなとそふと」から発売された本作。

発売前から予約が殺到し、後の萌えゲーアワード2009では大賞部門で銀賞を取ったほか、シナリオ賞・主題歌賞で金賞、ユーザー支持賞で銀賞の評価を得ている。

作中ではバラエティに富んだ小ネタが挟まれ、キャラクターたちの軽妙な掛け合いでプレイヤーを作品世界へ一気に引き込む。

かなりの秀作である。

人気声優も多数

本作の大きな特徴として、その豪華声優陣が挙げられる。

筆者は得にアニメファンではないが、それでも何人かは声を聞いただけであのキャラクターだと分かるレベルの声優が起用されている。

一般アニメ、つまりは「表の世界」での実力者も多数起用されており、子供たちの夢を壊すこと間違いなしだ。

あなたは何人の「声」に気づくことができるだろうか。

キャラクターの重要性を再認識したい人へ

攻略ヒロインが全員武士娘という、徹底したキャラクターの主義の元で発売された本作。前項でも書いたが、元々別のエロゲー会社で働いていたシナリオライターのタカヒロが、自分が理想とするエロゲーを作るために一年発起して立ち上げたエロゲー会社「みなとそふと」の第二作であり、出世作である。

タカヒロはアリスソフトの「戦国ランス」に登場するキャラクター上杉謙信の人気を見て、武士娘は必ず受けるとふんで本作の企画をぶち上げた。

実はライトノベルを書く際は、先にキャラクターを作り上げてからその「キャラクターありき」で物語を創った方がヒット作が生まれる可能性が高い。

実際、「とある魔術の禁書目録」はまずヒロインのシスターと主人公の少年が出会うところから物語を広げていったという制作秘話が語られている。

しかし、魅力的かつバラエティに富んだキャラクターを多数登場させることは極めて難しい。そういう時は、本作のように一貫したコンセプトの元に複数のキャラクターを作り上げるという方法がある。

本作に登場するヒロイン５人は全員武士娘だが、当然のことながらそれぞれ性格が違う。筆者はこのゲームの存在をかなり前から知っていたが、ここまでプレイしてこなかったのは、その「真剣で私に恋しなさい！」というタイトルと、パッケージで描かれている強気そうなヒロインが全面に押し出されていることから受けた攻撃的なイメージが原因だった。

「強気な女の子ばかりが登場して主人公を尻に敷くタイプのゲームか……。そういうのが好きな人はいるんだろうけど、僕の好みではないな」と敬遠していたのである。

しかし実際にプレイしてみると、確かに武道に長けたヒロインばかりではあったが、元気っ小からふんわり娘から、弱気でおどおどした女の子やら、様々なタイプの武士娘が登場して、すっかりハマりこんでしまった。

そして同時に思ったのが、こういった明確なコンセプトの元にキャラクターを創った方が、作り手にとっては書きやすいんじゃないかということだ。

全員武道が得意だが、それぞれに違った武器を持ち、その性格によった戦い方を繰り広げているため、個性が明確になりやすい。初心者が陥りがちな、「同じ作品の中で、似たようなタイプのキャラクターを複数人登場させてしまう」という過ちに対しても、土台（このゲームの場合は「武士娘」）が同一であれば気づきやすい。

「真剣で私に恋しなさい！」をプレイして、様々なタイプのキャラクターを書いてみよう。

まとめ

いかがだっただろうか。

ちなみに本作はスピンオフ作品がかなりたくさん創られており、ＤＭＭでの累計ダウンロード本数は１５万本を越えている。
いくらスピンオフ作品を含めた数字とはいえ、５万本で大ヒットと言われるエロゲー業界の中で、この売り上げは「異常」である。

もしかすると現代の草食系男子には武士娘がドスライクなのかもわからないが、それはともかくプレイすることで多くを学べる作品であることは間違いない。

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